1967年上演作品
昭和四十二年度 芸術祭参加作品
朱雀家の滅亡 四幕
エウリピデスの「ヘラクレス」に據る
10月13日(金) ─ 29日(日)
紀伊國屋ホール
作 三島由紀夫
演出 松浦竹夫
三島由紀夫がギリシャ悲劇に材を得、
日本人の魂を抉る書き下ろし野心作
Story
滅びゆく大日本帝国と滅びゆく青春と愛と
その死灰の底から美しい女神がよみがえった
「朱雀家(すざくけ)の滅亡(めつぼう)」四幕は、芸術祭賞を獲得した「サド侯爵夫人」についで、三島由紀夫が再度NLTのために書き下ろした大作です。
ギリシア悲劇に発想を得たこの作品は、大日本帝国が崩壊する敗戦前後の四季を舞台に、おのれの忠節を守るため、子を死に追いこみ、妻を殺すという狂気に襲われる堂上華族の当主を通して、滅ぴゆくものと、蘇がえるもの、日本人の魂の中の古い美しい秩序と荒々しい生命力との対決を描いた野心作です。
演出には、三島戯曲の舞台化で定評のある、松浦竹夫があたり、古典的な格調の高い舞台を現出するにちがいありません。
キャストは、子を殺し、妻を殺し、なお、、孤忠に生きようとする当主朱雀経隆(すざくつねたか)に、「十日の菊」、「鹿鳴館」他で重厚な演技を見せた中村伸郎。その父を恐れながらも愛し、激戦の孤島に死を賭して出征する経広(つねひろ)に中山仁。日蔭者の宿命のなかで、悲しみと憤りにもえる女おれいに「サド侯謡夫人」、「ヴァージニア・ウルフなんか恐くない」の南美江。経広の恋人で、己を捨ててまで、恋人を守ろうとする令嬢璃津子に、「鹿嗚館」のヒロイン朝子を演じた村松英子。経隆の実直な弟、光康(みつやす)に、村上冬樹が扮します。
「文芸」10月号所載
Cast
中村伸郎/中山 仁/南 美江/村松英子/村上冬樹
Staff
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作
三島由紀夫 -
演出
松浦竹夫 -
装置
織田音也 -
照明
浅沼 貢 -
音楽
藤井凡大 -
効果
吉田美能留 -
制作
三木 治